キャッシュとは? — 基本概念
キャッシュ(cache) とは、「頻繁に使われるデータを、アクセス速度の速い記憶領域に一時的に保存しておく仕組み」です。
なぜ使うかというと、「遅い記憶装置(ディスク、ネットワークなど)へのアクセス回数を減らし、全体の処理速度を上げる」ためです。
日常例で言えば、よく読む本を手元に置いておくようなイメージです。図書館に毎回行く代わりに、手元の机に置いておく。
キャッシュの種類と用途
キャッシュは、システムの異なるレイヤーで使われ、目的・性質が異なるものが複数あります。以下、主なものを紹介します。
| 種類 | 主な用途/配置 | 特徴・ポイント |
|---|---|---|
| CPUキャッシュ | CPU と主記憶(メインメモリ)の間 | L1/L2/L3 など階層構造。アクセス頻度の高い命令やデータを近傍に格納。 |
| メモリ/ソフトウェアキャッシュ | アプリケーション内部で使用 | たとえば、プログラムで計算結果を保存して再利用するようなキャッシュ |
| ディスクキャッシュ | OS、ファイルシステム、ストレージ層 | ハードディスクや SSD 上のデータを一時的にメモリ上などに保持して、再アクセスを速くする |
| ブラウザキャッシュ | Webブラウザ | Webページ構成要素(画像、CSS、JavaScript、HTML 等)を保持。再訪時に再取得を省略できる。 |
| CDNキャッシュ | コンテンツ配信ネットワーク | Webサーバーのコンテンツを地理的に近いキャッシュサーバーに配備し、ユーザーに近いところから配信することで応答速度を向上。 |
| データベースキャッシュ / アプリケーションキャッシュ | DBレイヤー、APIレスポンスなど | クエリ結果やオブジェクトを保持し、再取得・計算コストを削減 |
キャッシュの動作原理
キャッシュの基本的な動きは次のような流れです。
- 利用者・プログラムが「データを読みたい」と要求
- キャッシュ領域をまず探す
- ヒット (Cache Hit):キャッシュに目的のデータが存在 → そのまま返す
- ミス (Cache Miss):キャッシュになければ、元の保存場所(メインメモリ、ディスク、DB、リモートサーバーなど)から取得し、同時にキャッシュにも保存
- 新しいデータを入れる際、キャッシュ容量が限られているため、古いデータを削除(置換)
- LRU(Least Recently Used)などの置換アルゴリズムがよく使われる
- 更新(書き込み)されたデータをキャッシュに反映/無効化する仕組みが必要
また、キャッシュの整合性および有効期限管理が重要です。古いキャッシュをずっと参照していて更新が反映されない、という問題が起こりうるからです。
メリット・デメリット
メリット(キャッシュを使う利点)
デメリット・注意点
キャッシュ戦略・設計上の考え方
キャッシュを効果的に使うためには、設計と運用の工夫が不可欠です。
アプリケーションレベルのキャッシュは、要件に応じてキャッシュロジックを組み込む必要があり、その点には設計上の課題があります。(過剰キャッシュ、キャッシュの劣化、整合性管理など)
具体例で見るキャッシュの使われ方
例:Web ブラウザキャッシュ
- Web ページを訪問 → 画像・CSS・JavaScript ファイルを端末に保存
- 再訪時は、サーバーに再取得せず、キャッシュから読み込む → 表示が速くなる
例:API/DB キャッシュ
- 頻繁に使われるクエリの結果をキャッシュ(例:1時間キャッシュ)
- 同じクエリが来たときは DB を叩かずキャッシュを使う → 負荷低下
例:CDN キャッシュ
- 画像や静的ファイルをユーザー近傍の CDN サーバーにキャッシュ
- ユーザーに近いサーバーから配信することで遅延を減らす
- コンテンツ更新時はキャッシュをパージ(削除)/更新する仕組みを持つ
まとめ
キャッシュは、「データアクセスを高速化するための一時保存領域」の仕組みで、ITシステムのあちこちで使われています。
様々な種類(CPU、ブラウザ、DB、CDN など)に応じて最適設計が必要です。
メリットとして速度向上・負荷軽減がありますが、整合性・更新設計を誤るとトラブルの原因になります。
キャッシュを使うなら、TTL 設定、無効化ロジック、階層化などの戦略設計が肝要です。


